会長挨拶






     一般社団法人レーザセンシング学会
          会長 長澤親生



 2022年6月23日の一般社団法人レーザセンシング学会理事会におきまして、新学会会長に選任されましたので、一言ご挨拶を申し上げます。
 本学会は、1972年にレーザレーダ研究会として発足以来、日本におけるレーザレーダ研究の発展を支えてまいりましたが、その間、2018年には研究会の更なる発展を目指し、任意団体としての「レーザセンシング学会」に衣替えし、学会誌の発刊、組織の整備・充実や透明性の向上に努めてまいりました。また、2020年より、本学会のさらなる活性化と活動の多角化を推進するため、法人化への本格的な議論を進めてまいりました。
 その結果、2021年12月22日の臨時総会におきまして、「レーザセンシング学会」を一般社団法人として設立登記することに決定いたしました。
 2022年2月7日には、法務局において申請が受理され「一般社団法人レーザセンシング学会」が発足いたしました。これ以後、現在まで任意団体の「レーザセンシング学会」と「一般社団法人レーザセンシング学会」が併存してまいりましたが、2022年6月17日の「レーザセンシング学会」の定時総会におきまして、任意団体としての「レーザセンシング学会」の解散が承認されました。会員の皆様には、「一般社団法人レーザセンシング学会」への会員移行手続きにより、今後、本格的な「一般社団法人レーザセンシング学会」としての活動に移行することができます。

 ご承知の通り、2020年以来新型コロナウイルスの蔓延により、日本国内だけではなく、世界的にも学会活動が十分にできかねる状況にありましましたが、この困難な時期にも、会員の皆様のご協力と熱意により、学会活動を維持することができ、会員数も徐々に増加してまいりました。
 奇しくも1972年のレーザレーダ研究会発足以来50年目の節目の年に、「一般社団法人レーザセンシング学会」として新しいスタートをきることができたことは、慶びに堪えません。会員の皆様には、今後とも本学会の活動に、なお一層のご協力を賜りたくお願い申し上げます。

2022年7月1日   





    レーザ・レーダ研究会からレーザセンシング学会へ



 レーザレーダは、1960年にレーザが発明されると直ちにその応用分野として注目され、研究が開始されてきたものであり、大気や海洋、地形、衛星距離等の能動的な計測手段として発展してきているものです。とくに、レーザレーダによって大気の三次元的構造や大気成分の立体的な観測が可能であり、従来のマイクロ波レーダや光による受動的な(パッシブ型)センサとは異なる、新しい多くの機能がその中に見いだされました。わが国におけるレーザレーダの研究も先進諸外国と同時に開始され、1972年には国内のレーザ分野の研究者が集まり、第1回レーザレーダシンポジウムを仙台(作並)で開催致しました。これを基に東北大学稲場文男教授(当時)を会長としてレーザ・レーダ研究会が発足し、レーザレーダシンポジウムもその後約1年半の間隔で引き続いて開催が続けられ、活発な研究活動を展開してまいりました。さらに、1974年には第6回のレーザーレーダー国際会議 (ILRC)を仙台市で開催しました。

 その後、国内では高度経済成長期で公害による環境問題が多発し、これに応じて環境計測システムとしてのレーザレーダの研究開発も活発化し、レーザレーダシンポジウムもさらに活況を呈してまいりました。なお、第12回以降のシンポジウムは広くレーザを利用したセンシングの研究発表を行う場とするために、"レーザセンシングシンポウジウム"とその名称を変更して開催してきています。また、1994年にはICLAS*主催の第17回ILRCを仙台で開催し、1999年には独自の国際シンポジウムILSS'99を第20回レーザセンシングシンポジウムと合わせて福井で開催しました。さらに、2006年には第23回ILRCを奈良で開催しました。

 最近のフォトニックス技術の急速な発展に伴ない、ライダーの応用分野は、従来からの気象、大気環境などに加えて、自動運転技術や、トンネル等のインフラ保全監視、海洋、惑星探査などの広い分野へと拡大してきました。レーザ・レーダ研究会ではこれらの変革に対応するため、今後期待されるライダー技術や応用分野の調査を行うとともに、研究会組織のありかたについても検討を重ねてきました。その結果、2018 年 4 月より、「レーザ・レーダ研究会」を「レーザセンシング学会」と改め、さらなる発展を期すこととなりました。2022年2月には「一般社団法人レーザセンシング学会」として正式に法人登記されました。


*注) ICLAS (International Coordination-group for Laser Atmospheric Studies) は、International Radiation Commission (IRC)のワーキンググループ。



    沿革



 1972年7月 第1回レーザ・レーダシンポジウム開催(仙台、作並)
レーザ・レーダ研究会発足(会長:稲場文男、東北大学教授(当時))
(研究会発足以降、レーザ・レーダシンポジウムを継続的に開催。シンポジウム開催の詳細は文書アーカイブページに記載)
 1974年9月 ICLAS主催の6th International Laser Radar Conference (ILRC) (第6回レーザレーダ国際会議)を仙台で開催
 1988年5月 レーザ・レーダシンポジウムをレーザセンシングシンポジウムと改称
第12回レーザセンシングシンポジウムを岡山で開催
 1994年7月 17th International Laser Radar Conference(第17回レーザレーダ国際会議)を仙台で開催
稲場文男会長が、ILRCにおける若手研究者の優れた研究発表を表彰するInaba Prizeを創設
 1999年9月 レーザセンシングシンポジウムの第20回を記念して、International Laser Sensing Symposium’99/ 20th Japanese Laser Sensing Symposiumを福井で開催
 2006年7月 23rd International Laser Radar Conference(第23回レーザレーダ国際会議)を奈良で開催
 2008年9月 レーザセンシングシンポジウムにおける若手研究者の優れた研究発表を表彰する広野賞を創設
  2012年9月9日 稲場文男会長逝去
 2013年2月 小林喬郎、福井大学名誉教授を会長に選出
 2015年4月 研究会活性化のための委員会活動を開始
 2015年10月 ニュースレター創刊
 2018年4月 レーザ・レーダ研究会をレーザセンシング学会と改称
長澤親生、首都大学東京・名誉教授を会長に選出
 2022年2月 一般社団法人レーザセンシング学会発足
 2022年6月 長澤親生、東京都立大学・名誉教授を会長に選出